産まない理由
- 作者: 葉石かおり
- 出版社/メーカー: イーストプレス
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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結構な期待をして読んだ。共感できる意見が読みたかったのかな。
様々な立場の女性に取材して作者が文章を書いている。
で、4つの章に分かれている。
第1章 私は産みません。
第2章 私は産みたい。でも……。
第3章 私は不妊治療を受けています。
第4章 私は産みました。
第1章のようなことがメインと思っていたけど、そうでもないのか。
何人かの人が個人の人生観をつづってて、それぞれを認めるような本なのかと思っていたけど、思ったより社会に何らかのことを訴えかけるような本なのかな。2章なんてけっこうそんなかんじ?
あるいは、一部の価値観に多めの共感を示すような。
私にとって、子供を持つ、持たないは、個人の問題。
私の、「子供持つ持たない観」はこんなかんじ。
- 人間全般において子供は持つべきものでも、持たないべきものでも、ない。(たくさんの人が子供を持たないって決めて、少子化で大変なことになっても、まぁそれはしょうがない。)
- 社会が子供を持ちにくい社会だっていうのも、それは個人が子供を持つか持たないか決めるための、ひとつの考察材料でしかない。その上で持ちたい人は持つだろうし、持ちたくない人は持たなければいい。(持ちたいけど持てない人だってもちろんいるだろう。その原因はいろいろだろうけど、本来どんな原因も並列だと思うんだよね。たとえば、経済的理由、健康上の理由、社会の仕組み、パートナーがいないとか意見が違う、などなど)
子供を持ちたいって思っている人が、そうしにくい社会に対して文句を言えるのは、社会全体として「子供は持つべきだ」っていう通念があるからだよね。少なくとも今日本は少子化だし。
そこが子供を持つのをあきらめる原因の中で、「社会」という原因の特殊性だと思う。
たとえば「私はブランドバックを買うお金がない。こんな社会はおかしい!」って言う人がいてもだれも見向きしないだろう。
でも「私は経済的理由で子供が持てない。こんな社会はおかしい!」って言う人は、けっこう共感を得られるんじゃないかな。
そういうこと。推奨されている物事の特殊性っていうのは。
実際、少子化対策なんかが行われているんですから、子供を持つことは奨励されているのでしょう。
社会は子供を持つことを奨励しているのに、その仕組みは子供を持つのが難しいものになっている。
「言うだけじゃだめだ」あるいは、「対策が的外れだ」って言いたい人も多いのかな。
あと、私がさっきから子供を「産む産まない」じゃなくて「持つ持たない」って書いてるのは、前者だと女性だけが悩んでる問題みたいになっちゃうから。
この本『産まない理由』は、女性の意見を集めた本なので女性側の視点ばかりが書かれているのは当たり前だけれど、子供を持つとか持たない、あるいは持てないとかって、知性を持つ生物である人間ならみんな出会い得る問題だよね。
そりゃ、それぞれの性別を取り囲む社会的状況は違うだろうけど、それは性別が同じであっても状況はそれぞれ違うわけで。
また、
「私は産みたいけど夫が子供要らないって言うんです」
なんてのは逆も同じ形でありえるわけで。
「僕は子供持ちたいけど妻は要らないって言うんです」
ってね。
こんなスレもあった。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2007/0807/141611.htm?g=05