Aminosäureがsichになるまでの間に考えたこと

本などをきっかけに考えたこと。

機嫌のいい犬

機嫌のいい犬

機嫌のいい犬

川上弘美さんの第一句集。
川上さんファンも俳句も5、6年ほど細々やっている。
川上さんが俳句やってるのは知っていたけど、句集 テンションあがるわ。
言葉の選び方や配置のしかたのよさもあるんだけど、それよりこれはと思うのは、アイデアの画としてのおもしろさ。
その辺、本職が詩書きじゃなくて、小説書きなんだな。
ところどころ、彼女の小説作品のどれかが思い浮かぶ句も。
それはそれでリンクがおもしろいけど、俳句を知らない、あるいは川上弘美の小説あんまり読んでないという人が読むほうが新しさが楽しめてよいかも。
ひらがなの混ぜ方が面白い。
小説と同じく恋が散りばめられているし、その延長の必然なのだろうが
破礼句の詠み方には北大路翼もびっくりなのでは。
エヴァンゲリヲンの句とかもあっておどろいた。
目次の最後に「俳句を、つくってみませんか。」と見つけて、わくわくした。
本当にこの句集を読んで俳句を始める人がたくさんできたらいいな。


○好きな句
ペーチカや夜の森には夜の歌
ゆふがたのゆめ無きねむり柿熟るる
口わろき鸚鵡を愛す寒さかな
春の夜の少しのびたるもやしの根
きみみかんむいてくれしよすぢまでも
まんじゆしやげ褪せゆくときもいつせいに


川上さんの小説と同じく、物体じゃなくて感覚の存在感みたいなものがすきなのかな。


○川上さんだな、と思った句
はつきりしない人ね茄子投げるわよ
常よりも右に臍ある油照
春日の循環バスを降りられず