Aminosäureがsichになるまでの間に考えたこと

本などをきっかけに考えたこと。

苦役列車

苦役列車

苦役列車

文学ぽい、軽快に読み進められる語り口。
始まってしばらく主人公しか名前が出て来ず、主人公以外の人が形を持って描かれることなく描き進められるので、読み手は心許無い気持ちになる。
他人と深くかかわらず暮らす主人公の生の頼りなさを読者も味わう。
そしてはじめて他人の名前が出て来る。
つまり主人公の認識の中に、形ある他人として認められる者が出現する。
主人公の生は動き出す。
良くも悪くも。

ぶつ切りの終わり方が、それでも生活が続いていく現実を思わせた。